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【テニプリ】闇菊【R18】

第98章 【プレゼント】




「……先輩は強いですよ……きっと、誰よりも……」


ポツリと呟いたその鳴海さんの言葉に、もう何も言える雰囲気じゃなくなって……


しばらく、続いた無言……
それじゃ、そう鳴海さんがぺこりと頭を下げるから、ハッとして慌てて呼び止める。


「あ、あの!、鳴海さん……ありがとうございました」

「……なにが?」

「あの……その、助けていただいたので……」


そう、鳴海さんの雰囲気に飲まれている場合じゃない。
私、まだ、お礼を言っていない。
お友だちを怒らせてまで、私のことを助けてくれたのに……


「本当に、ありがとうございました」


深々と頭を下げる私に、鳴海さんは、はーっと大きなため息をついて、ほんと、どこまでお人好しなんですか、そう呆れたように呟いた。















「ちょっと、いいかしら?」


突然、かけられた少し高い声。
ドクン____
なぜだか分からないけれど、心臓が大きくざわめく。


な、に……?


得体の知れない不安に冷や汗をかきながら、かけられた声の方向に振り返る。
そこに立っていたのは、ひとりの女の人……
口角をあげて、私と鳴海さんを見ている。


「……はい、なにか、御用ですか?、職員室でしたら昇降口の横にインターホンが……」

「そうじゃないの、私、あなたたちに用があるの」

「……私たちに?」


その女の人と、それに対応した鳴海さんを、震える身体を抱きしめながら眺める。
なんで……?、どうしてこんなに震えているの……?
そう得体の知れない恐怖の理由を、自分自身に問いかけてみるけれど、本当はひとめ見た瞬間から、その答えは分かっていて……


赤茶色の外ハネのくせっ毛……
パッチリとした大きな目……
特徴のあるベイビーヴォイス……


それは、まさに同じ遺伝子の証……








この人、英二くんの……









本当のお母さんだ____
















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