第98章 【プレゼント】
『英二の誕プレ?、そんなの頭にリボンつけて、プレゼントは、わ・た・し!って、あ、でも、もうとっくにあげてるからダメかー!』
そう言ってお腹を抱えて大爆笑した美沙……
美沙に聞いたのか間違いだった、そう思ってここに来たのに、まさか不二くんにまで同じことを言われるとは……
そう少し恨めしく思いながら、不二くんに視線を向けると、不二くんはさらにクスクス笑い、ごめんごめん、そう言って私に謝罪する。
「でも、英二にとって、小宮山さんが一緒に過ごしてくれる、それが一番のプレゼントなんじゃない?」
だから、そういう意味でも、プレゼントは小宮山さんかなって、そう続けた不二くんの言葉に、カーッと頬が熱くなる。
やだ、私、美沙に言われたばかりだからって、勝手にそんな方向に考えちゃって……
恥ずかしくて小さくなる私に、不二くんはもう一度、ごめんねって謝ると、少しからかいすぎたかな、そう言って今度はふふっと笑った。
「あ、不二くん、今日はまだ明るいですから……大丈夫、一人で帰れます。部活に顔を出してください」
「そう……じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな、少し打っていきたいし」
頑張ってくださいね、そう昇降口で不二くんと別れると、少し商店街を覗いていこうかな?、なんて英二くんの誕生日プレゼントのことを考えながら歩き出す。
「……あの、ちょっといいですか?、小宮山先輩」
そうしよう、何かいいものが見つかるかもしれないし……、そう思いながら校門を抜けようとしたところで声をかけられる。
驚いて振り向くと、そこには数名の女の子たち……
お互いに目配せしながら、次の言葉を言う人を選んでいる。
あ……、その様子に自然と身体が身構えてしまう。
だって、この状況じゃ、彼女たちの言いたいことは、ひとつしかなくて……