第98章 【プレゼント】
ふわふわオムレツ……プリプリエビフライ……シャリシャリかき氷……
お菓子……アイドル雑誌……チョコレーツ……
ゲーム……レアもののスニーカー……ニットの帽子……
遊園地……ペットショップ……ハミガキ……熊の大五郎……
「それ、英二の好きなもの?」
「キャッ!、え?、あ!」
突然、耳元で聞こえた声に、驚いてバサバサと持っていた書類を落としてしまう。
ごめんなさい、そう慌てて拾おうとしゃがみこむと、スっとキレイな指先が延びてくる。
「はい、ごめんね、驚かせちゃって……」
その指の持ち主は不二くん。
突然声をかけてきたのも、彼なんだけれど……
「あ、いいえ、すみません、私、考え事をしていたものだから、大げさに驚いてしまって……ありがとうございます」
一緒に集めてくれる不二くんに、申し訳なく思いながら謝ると、英二の誕生日プレゼント?、そうもう一度、不二くんが問いかける。
「あ、はい、その……何をあげたらいいか、全然分からなくて……」
そう、生徒会室で書類を棚に戻しながら考えていたのは、目前に迫った英二くんの誕生日プレゼント。
もう時間が無いのに、未だにこれ!、というものに決めれなくて、英二くんの好きなものを一つ一つ思い出していたのだけれど、まさか声に出していたとは……
もう脳内、垂れ流しじゃない……、そう恥ずかしくてカーッと顔が熱くなる。
でも、このまま一人で考えても決まらないし、不二くんなら英二くんのことよく分かってるもん、何かいい案を出してくれるかも……?
「あの、不二くん、何をあげたら英二くん、喜んでくれると思いますか……?」
「そうだね、小宮山さん、が一番じゃないかな?」
クスクス笑う不二くんに、いや、冗談は抜きでお願いします、そう呆れながら返事をする。
それって、既に美沙にも言われたから……、そう、美沙に相談した時に、散々、揶揄われたことを思い出す。