第97章 【ラブアンドピース】
「早退、した方良くない?、オレ、送ってくよん?」
「いいえ、病気じゃないですから……ちょっと貧血起こしただけで……お昼休みだけ休ませてもらって、授業は出ようと思います」
小宮山、ほんと、真面目すぎ……
こんな時くらい、ゆっくり休めばいいのに……
いつだって生徒会の仕事や、学級委員の市川の手伝いで大変そうなのに、勉強も首席をキープして……
ポケットから絆創膏を取り出すと、小宮山、ちょっとゴメン、そう言って布団の中に手を差し入れる。
手探りでセーラーの裾に手を入れると、え、英二くん!?、なんて小宮山が焦った声を上げる。
「あの、ですから、私、今……それに、学校……」
「違くてさ……いいから、ちょっと大人しくしててよ」
小宮山のお腹に絆創膏を貼り付けると、そのまま手を添え、痛いの、痛いの、飛んでいけ、そうゆっくりとさすり唱える。
そんなオレに小宮山は驚いた顔をして、それから、キュッとオレの制服の裾を握りしめた。
「……英二くん、あ、あの……」
頬を赤く染めた小宮山がチラッとオレに視線を送り、それから、微かに口元を動かす。
うわっ!、学校でのオネダリって、ヤバすぎだろー!
キョロキョロと周りを見回して、しっかりとカーテンがしまってるのを確認すると、ゆっくりと小宮山に顔を近づける。
ふわりと重なった唇、離してすぐにもう一回……
保健室特有の消毒薬の匂いに、小宮山の甘い香りがまざりあって、それは学園祭でオレが倒れたときを思い出して……
あの時、小宮山に抱きしめてもらってると、すごく安心できたから……
今日はお返しに、オレが小宮山を包み込んであげるから……
小宮山の上に覆いかぶさると、何度も唇を重ね合う。
身体の負担にならないように、体重をかけないよう注意して、優しく、優しく……