第97章 【ラブアンドピース】
もしかしたら、バレーボールにぶつかったって可能性もあるけれど、どっちにしても倒れたってことは、そうとう大変な状態に違いなくて……
もし悪い病気だったり、大怪我してたらどうしよう、そう頭ん中も心の中も不安でいっぱいで、バクバクする胸をギュッとおさえる。
お、英二!どうしたんだよ?、なんて声をかける友人の声も無視して走り続けた。
「小宮山!、小宮山は!?、先生、小宮山、どこ!?」
保健室に飛び込むと、保健の先生が驚いた顔で振り返る。
でも小宮山は見当たんなくて、そっか、寝てるんだ!、そう思って、片っ端からベッドのカーテンをあけていく。
でもなかなか小宮山を見つけることは出来なくて、ここか?、そう一番最後のカーテンを勢いよく開けると、やっと寝ている小宮山を見つけて……
「小宮山!、どうしたんだよ!、まさか死んでるんじゃないよな?、小宮山!、頼むから目を開けてよ!」
「こら、うるさい!、ここは保健室!」
「あでっ!」
寝ている小宮山の身体をガクガク揺らしていると、呆れた保健の先生に、思い切り利用者名簿で後頭部を叩かれる。
「いってー、なんてことすんだよ!、この暴力保健医!」
「うるさいお前が悪い!静かにしなさい、小宮山さん起きちゃうでしょ?」
「だいたい、こんなとこに寝かせてる場合じゃないっての!救急車呼ぶよ!」
「あ、こら!バカ!携帯しまいなさい!ほんとに掛けるんじゃないの!」
先生にはオレが倒れたときに、さんざんお世話になってるくせに、ひでー悪態をついてみる。
そりゃ、小宮山が寝てるんだから、静かにしないといけないのは分かってるんだけど、それでも心配する気持ちの方が大きくて……
「……英二くん?」
保健の先生と携帯を取り合うオレの耳に、小宮山の呼ぶ声が聞こえて振り返る。
そこには、さっきまで寝ていたはずの小宮山が起き上がってオレを見ていて、小宮山!、そう急いで小宮山のもとに駆け寄った。