第97章 【ラブアンドピース】
悪ノリしすぎの小林たちを睨みつける。
ったく、こいつらが小宮山のことをそういう対象で見てるのは、前から知ってるけど……
セフレだった頃は、そんな小林たちに優越感を感じていたこともあったけど……
「変な想像することだって、絶対、許さないかんな!」
人の彼女つかまえて、なんてこと言うんだよ、そうイライラしながら、オレ、先に教室戻るよん?、そう更衣室を出ようとする。
あー、本当に腹立つなぁ……!
早く、小宮山の顔が見たい……
今すぐ、小宮山ーって抱きついて、そんでその香りに包まれたい……
なんて、人前では抱きつかない約束だから、ダメだけどさ……
でも、抱きしめることは出来なくても、小宮山が隣にいれば、じゅうぶん幸せだから……
恥ずかしそうに頬を染めて、英二くんって笑顔で呼んでくれるだけで、心から笑顔になれるから……
「あ、英二、そういやさっき、クラスの女子たちが言ってたけど、小宮山、体育中に倒れたんだってよ?」
すぐに小宮山に会いたくて、今日は一緒に弁当食べようかにゃ?、なんて思いながら更衣室を出ようとしたところで、ふとかけられたその衝撃的な言葉にピクっと身体を固まらせる。
「……今、なんて……?」
「だから、小宮山、体育の授業中に倒れたんだってよ?」
小宮山が、倒れた……?
聞き間違いじゃなかったその言葉に、サーッと全身の血の気が引いていく。
なんでそれを早く言わないんだよ!、そう声を張り上げると、自分の体操着を放り投げて、それ、教室持ってって!、なんて叫びなら更衣室から走り出す。
倒れたって、いったいどういうことだよ……?
小宮山、なんも変わった様子なかったじゃん!って思って、でももしかして、誕生日のことどう切り出そうか悩んでたから、具合悪いのに気が付いてあげれなかっただけかも?って不安になって……
もし気づいてやれなかったんだったら、オレ、彼氏として失格じゃん……!