第96章 【カンシャ】
「いいえ、疑ってしまって……ほら、英二くんも美沙も謝ってください、私が傷つかないよう、そっと処分しようとしてくれてたんですよ?」
本当に申し訳ないな……
最初から、疑ってしまったりして……
疑われる辛さは、私がよくわかってる……
それが濡れ衣だった時の、心の傷も……
本当に申し訳ありません、そう深々と頭を下げた。
「……いや、もともとは、うちらが悪かったんだし……」
その声に驚いて顔を上げると、ねぇ?、そうその子たちが視線を送り合う。
私たち、ちゃんと謝ってなかったからさ……前は、ごめん、そう逆に謝られて、どうしたら良いかわからなくなってしまう。
「これでも反省しててさ……ずっと謝んなきゃって思ってたんだけど……あんな、その……酷いことしてたから、声掛けにくくて……」
その言葉に、英二くんと美沙と顔を見合わせる。
反省して……謝んなきゃって……
そんなふうに思っていてくれたなんて……
「そりゃ、私たち、不二くんのこと好きだから、ずっと頭にきてたけどさ……でも、学祭のときの英二と小宮山さん見てたら、納得しちゃったっていうか……」
学園祭のときの英二くんと私を……?
たこ焼きの模擬店のことか、それとも、人混みで抱き合ってたこと……?
どっちにしても、見守っててくれていたんだね……
「クラスのみんなとも相談してさ……みんなでふたりのこと、応援しようって……だって、英二も小宮山さんも、お互いのことすごく好きなの、伝わってきて……なんか事情があるんだよね?って……」
うんうん、そう頷く他のクラスメイトたち……
嬉しくて涙が溢れ出す……
美沙やテニス部のみんなだけじゃなかった……
あんなに私のこと、疎ましく思っていた人たちも、いつの間にか……
そう、このクラスはいつだって団結力が凄くて……
それに壁を作っていたのは私の弱さで……