第95章 【ソラニウカブ】
「それにしても、小宮山、すげー、顔、固まってたよん?」
「英二くん、もしかして、見てたんですか?」
「うんにゃー、もう、バッチリ!」
あんな醜態を見られたかと思うと恥ずかしくて、カーッと顔が熱くなる。
それにしても、私なんて英二くんの声すらよく聞こえなかったのに、英二くん、そんなに余裕だったなんて……
だいたい、あの状態で周りなんて見れるもの……?
そんな私の疑問に、動体視力は自信あるかんね、そう言って英二くんがニッと笑う。
宙返りしながらでも、遠くに見える看板の文字まで読めるよん?、そう得意げにブイサインするその様子に、だから、テニスでもあんなにくるくる回りながら、ボール打てちゃうんだ、そう納得すると同時に、本当に英二くんって凄いなって改めて感心した。
それからは、英二くんはあまり激しいアトラクションは避けてくれて、楽しいながらも穏やかに園内を回れた。
英二くんは絶叫系が大好きみたいだから、本当に申し訳なかったんだけど、でも、やっぱり、あの恐怖はもう二度と味わいたくなくて……
すみません、そう申し訳なくて謝る私に、いいの、いいの、オレ、小宮山と一緒に遊園地来れただけで、すんげー楽しいからっ!、そう笑顔満点で手を引いてくれる彼の心遣いが嬉しくて……
実際、英二くんは本当にとても楽しそうで……
どうしてそんなことが出来るんだろう?、そうこっちはヒヤヒヤしちゃうくらい、はしゃいでいて……
ノリノリで挑戦していたトランポリンでは、まるで体操選手のように空中で何回もグルグル回って係員さんに怒られるし、
何故か平日なのに開催されていたヒーローショウでは、いつの間にかステージに上がっていて、ヒーローそっちのけでアクションバトル繰り広げて、ちびっ子たちに大喝采を受けてブイサインなんてしているし、
余裕そうにしていたお化け屋敷では、テーマが学校の七不思議だと分かった途端、真っ青になって逃げ出して、ガクガク膝を抱えて震え出すし……