第95章 【ソラニウカブ】
「えっと、とりあえず、入ってください?、お茶、入れますから……」
小宮山に招き入れられた途端、ギュッとその身体を抱きしめる。
毎回のことなのに、きゃ!、と可愛い悲鳴をあげて驚く小宮山を愛おしく思いながら、クンクンと甘い香りを堪能する。
「あ、あの、えっと、英二くん、今日はお出かけ……」
「ん、ちょっとだけ、抱っこさせて……?」
だって、今日の小宮山は、すげー可愛い服着てて、メイクだって派手じゃないけどしっかり整えられていて、こんな可愛い彼女を目の前に、「抱きつかない」なんて選択肢はなくて……
それに、昨日、最後にって芽衣子ちゃんを抱きしめちゃったから、小宮山がオレにしたキスマークの上書きってわけじゃないけれど、オレも小宮山の感触でいっぱいにしたくて……
「あ、あの……え、いじく……ん……」
そのまま小宮山の口をキスで塞ぐと、腕の中でジタバタしてた小宮山が急に大人しくなる。
チュッと軽く何度も繰り返すと、だんだんと小宮山の顔がトロンとしてきて、慌ててその身体を引き離す。
あー、もう!、小宮山ってば、なんでそんな顔してんだよっ!
って、いや、オレがさせたんだけど……
「あ……あの、英二くん……?」
「もうちょっとこうしてたいけどさ、今日はデートだかんね!」
これ以上してたら、とまんなくなるじゃん?
今日はせっかくの初デートなんだ!
小宮山とベッドでイチャイチャするのは我慢して、外にでてめいいっぱい楽しまなくちゃ!
今更、初デートってのも不思議な感じだけど、なんて思いながら、さっさと出かけるよん!、そう行って玄関を開け、笑顔で小宮山の手を引っぱる。
あ、あの、待ってください、コート……、そう小宮山が戸惑っていうから、あ、そっか、なんてペロッと舌を出す。
やっと堂々と出かけられるようになった初デート。
外は快晴!
天気も祝福してくれてるみたいじゃん?
ブーツを履いて恥ずかしそうにはにかむ小宮山の手をとると、気合い満点で行こう!、そう言って外に飛び出した。