第95章 【ソラニウカブ】
そんな風に英二くんに思われてたなんて驚いて、でも引くわけにはいかなくて……
お互いが「自分のせい」を主張した後、お金の押し付け合いになって……
結局、んー……って顎に人差し指を当てて考え込んでいた英二くんが、んじゃ、こうしよ!って目を輝かせて、シワのよった私のお札と同額のお金を財布から出すと、これで遊びに行くってことで、万事解決!、なんて言い出して……
「えっと……それって、解決になりますか?、私もさらに同額出さないと……」
「いいんだって!、小宮山、難しく考えすぎ!、オレとデートしたくないのー?」
そんなこと!、そう大きく首を横に振って、恥ずかしくて慌てて俯いた。
デートって言葉にドキドキして……
だって、私たち、デートらしいデートってしたことなくて……
前に一緒に買い物に出かけて、チビ丸と小五郎を買ったり、コンテナから夜景を見たりしたことはあったけど、あれはまだ付き合っていない時だったし、プラネタリウムに一緒に行ったときは、もともと不二くんとの約束だったし……
そもそも、私と英二くんが付き合っていることは、ほんのひとにぎりの仲間内しかしらなくて、ずっと付き合っていることを隠していた以上、あまり堂々と出かけたりって出来なくて……
それがあんな風に学校中に知れることになっちゃって、開き直って堂々とデート出来るようになった訳だけど、改めてデートと思うととにかく緊張しちゃって……
英二くんが帰る時間になって、鳴海さんとのことでまた不安になっちゃったけど、夜、ちゃんと約束通り通話をかけてきてくれて……
鳴海さんを抱きしめたと聞かされた時は嫌だったけど、でも前のこともあって隠されるほうがもっと嫌だから、本当のことを話してもらえて良かった、そう心から思って……
それじゃ、明日、10時に迎えにいくからさって、おやすみなさいの挨拶をして通話を終わらせると、また途端にソワソワして……
何を着ていこうか?、なんて悩みだしたら、もう眠れなくなっちゃって……