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【テニプリ】闇菊【R18】

第94章 【ドウカシアワセニ】




「……冗談ですよ?」


真っ青な顔をするオレの耳に届いた芽衣子ちゃんの声。
へ?、そう思って、顔を上げると、芽衣子ちゃんは呆れた顔でオレを見ていて、ほんと、単純、そう言ってバッグを肩にかけ直す。


……もしかして、今のは、保健室の時と同じように演技……?


そう思ったらすげー頭にきて、おもいっきり芽衣子ちゃんを睨みつける。
芽衣子ちゃんに悪いことしたと思ったから、せめて最後の願いくらいって、また小宮山を裏切るようなことまでしたのに……


「そんな怖い顔、しなくてもいいじゃないですか、先輩から小宮山先輩の香りがプンプンしてたから、ちょっと意地悪言いたくなっただけですよ」


あ、もう、私の香りが移りましたから、このあと、小宮山先輩に会わない方がいいですよ、なんて芽衣子ちゃんはクスッと笑う。


……マジ?、そう思いながら、自分の腕や肩をクンクンと嗅いでみると、確かに芽衣子ちゃんの残り香がするような気がして……
これから小宮山に会うわけじゃないけれど、それでも、芽衣子ちゃんの香りがついて、余計に罪悪感が大きくなって……


「もう間違わないでくださいって言ったばかりじゃないですか……、そんなんじゃ、これからも私みたいなのに付け込まれますよ?」


ま、もう、どうでもいいけど、そう言いながら、芽衣子ちゃんはくるりと向きを変えてドアへと向かう。


何度も騙されて腹が立つ一方で、芽衣子ちゃんの言うことは最もで……
ほんと、さっき、一番大切で、一番幸せにしたい人は小宮山だって、改めて自分に言い聞かせたばかりだったのに……


「……あ、そうだ……先輩、やっぱり、もう一つだけいいですか?」


ドアを開けようとした芽衣子ちゃんが振り返り、ガクリと肩を落とすオレに声をかける。
ん?って思って、顔を上げると、芽衣子ちゃんはもうオレの方は見ていなくて、手を掛けたドアノブ辺りをジッと見つめていて……

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