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【テニプリ】闇菊【R18】

第94章 【ドウカシアワセニ】




「ほい、コーヒーでいい?、オレ、飲みたかったからさ……小宮山、紅茶の方良かった?」

「いいえ、目が覚めるからコーヒーが丁度いいです、ありがとうございます」


ベッドの淵に座る私に、英二くんがコーヒーを手渡してくれて、そのまま私の隣に腰を下ろす。


あたりに漂うコーヒーのいい香り……
いただきます、そう言って口に含むと、疲れた身体にちょうど良い優しい甘さ……


膝の上にはゴロゴロと喉を鳴らすネコ丸、隣には大好きな英二くん……
またこんな幸せな時間を過ごせるなんて……
嬉しくて思わず涙が滲み、英二くんに気づかれないよう指でこっそり拭った。


そんな私の横で、英二くんは相変わらずブラックのまま、ゴクッとひと口、口に含む。
そんな英二くんを今度はジッと見ちゃって、その私の視線に気がついた英二くんが、どったの?って問いかける。


あ、いいえ……その、そう慌てて視線をそらして、それから、えっと……、なんて少し考えて口を開く。


「学校での英二くんしかしらなかったら、ブラックコーヒーってきっと意外なんだろうなって、ずっと思ってたんです……」


そう言った私に英二くんは目をパチパチと瞬きして、あーって苦笑いをしたと思ったら、ん、最初は背伸びしたくてさ、そう言ってそのコーヒーをじっと見つめた。


「早く大人になりたくてさ……まぁ、ブラックコーヒー飲めばなれるってわけじゃないんだけど、あと、ビールもタバコも……」


あ、そうか……、その英二くんの言葉に、こんな所にも彼の生い立ちの影響が出てるんだ……、そうしんみりしてしまう。


それから、ん?って思って、アルコールは昨日知ったけど、タバコも!?、ってビックリして、まぁ、あのカラオケ店でもみんな吸ってたから、考えたらそうなんだろうけど、でもやっぱり驚いて……


「そ、それでも、タバコは絶対ダメですよ!百害あって一利なしなんですから!」


そう注意する私に、うん、前にとーちゃんにバレて辞めた、そう言って英二くんはバツが悪そうに笑った。

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