第94章 【ドウカシアワセニ】
「……小宮山、眠い?、いいよん、寝て。オレ、帰る前にちゃんと起こすから……」
「……いいえ、寝たくない、です……英二くんと、お話、したい……」
久しぶりの行為のあと、英二くんの腕の中に包まれてベッドに横になると、途端に襲ってくる眠気……
いつもはそのまま眠ってしまってたんだけど、今日はどうしても英二くんとの時間を大切にしたくて、必死にその睡魔に抵抗する。
だって昨日の夜も、お話できないあいだに眠っちゃって、しかも記憶のないままで……
だから、どうしても限られた時間を寝て終わらせてしまいたくなくて……
「んじゃ、なんか飲む?、ほんとはベッドの中で小宮山ずっと抱きしめてたいけどさ?」
そんな私の気持ちを分かってくれた英二くんは、そう言って立ち上がると、軽く服を着てキッチンへと向かう。
そんなふうに言われると、ドキドキしてかぁーっと顔が赤くなる。
私だって、英二くんに抱っこしてもらいながら眠りたいけれど、そしたら本当に、英二くんが帰るまで眠っちゃうもん……
って、赤くなってる場合じゃないよね……
今のうちに着替えないと、そう気だるい身体に気合を入れて、なんとか自分も着替えを済ませる。
大変だけど、シワにならないうちにお姉さんの制服は掛けなくちゃ……
そうハンガーに掛けてクローゼットに引っ掛けると、自分の規定通りの制服のスカート丈よりだいぶ短くて、着ている時から思っていたけれど、これで学校に行くのは、やっぱり勇気がいるな、なんて苦笑いした。
「おまたへ~」
トレイにマグカップを2つ乗せて英二くんが戻ってくる。
でもそんな英二くんより、真っ先に飛び込んできたのはネコ丸で、ネコ丸はそのまま、チリンチリンと鈴の音を鳴らしながら、私の元に駆け寄ってくる。
「ただいま、ネコ丸、昨日は帰ってこなくてゴメンね?、お母さんと一緒に寝たの?」
そう言って抱き上げ頬ずりすると、小宮山はオレと寝たんだぞー、羨ましいだろー、そう言って英二くんはネコ丸に自慢げに笑った。