第93章 【ウワガキ】
「あ、あの……英二くん……私だけ、なんて……ハズカシイ、から……その、だから……英二くんも……」
恥ずかしくて、そう英二くんにオネガイする。
オネガイしたことの方がハズカシイ気もするけれど、でも、私だけってやっぱり耐えられなくて……
それに、直接肌を合わせて、全身で英二くんを感じたいって気持ちの方が大きかったってのもあるし……
でも、その瞬間、英二くんは目を大きく見開いて、それからゆらりと瞳を揺らした。
あ……、私、また余計なこと言った……
英二くんの気まずそうな顔……
口にくわえて、今にも破ろうとしていた避妊具の小袋を力なく取り除くと、そのまま首元のボタンをギュッと握りしめる……
そんな英二くんの様子を見ていたら、自分がまた考えなしだったことに気がついて……
英二くんは「脱がない」んじゃない……
「脱げない」んだ……