第93章 【ウワガキ】
じゃあもう1回は……?
って、どう考えても、あの格好させられた時よね……!?
英二くん、やっぱりその気になってたんだ……!
「あ、あの、英二くん、昨日の夜……」
「もう、待たないってば……」
すぐさま落ちてくるキスと絡みつく舌……
ダメ、もう、何も考えられなくなってしまう……
さっきは英二くんの指の冷たさに、なんと理性を保っていられたけれど、もうすっかり暖まってなんの障害もなくなった今となっては、その気持ちよさに抗うことなんかできなくて……
英二くんの指先が私の身体を撫でる……
ゆっくりと、身体中を……
いつもと違う……
まるで私の身体の感触を確かめているみたい……
擽ったくて、恥ずかしい……
でも、凄く、心地よい……
そっと目を開けると、英二くんの顔が見えた。
それは、不安げな、伺うような視線……
え?、どうして?、そう思うと同時に、気がついた一つの可能性……
英二くん、私のこと、心配してくれているんだ……
きっと、前にあのカラオケ店で、あの男の人たちに無理やりされた時のことを気にして……
私が、廊下や教室で、不二くんや他の男子に触れられるの、怖がってたのを見てたってのもあるだろうし……
そう言えば、私自身、すっかり忘れていた……
あれ以来、男の人に触れられると、あの時のことがフラッシュバックして、怖くて怖くてどうしようも無かったんだ……
「……英二くん、私、すごく幸せです……」
「へ?……あ、うん……」
私の突然のその言葉に、英二くんは戸惑いながらパチパチと2回、瞬きをする。
「幸せだから……もっと、キモチヨク、シテ……?」
我ながら、ものすごく恥ずかしいことを言っているのは、分かってるんだけど……
だけど、英二くんに遠慮なんかして欲しくなくて……
そんな私のオネガイに、英二くんは目を見開いて、あー、もう!、そうワシャワシャと髪をかき乱す。