第92章 【ケツイトマヨイ】
「あの、本当にお世話になりました、皆さまにもよろしくお伝えください」
「また、遊びに来てね!、英二と別れても関係ないから、絶対ね!?」
「あ、あの、流石に別れたら、もう来れないです……」
「ちょっと、ちょっとぉ!、ねーちゃん、縁起悪いこと言わないでよ!、小宮山も否定するとこ違うから!」
お兄さんが作ってくれたパンケーキを、英二くんとお姉さんと3人で食べ終わると、暫く英二くんの部屋でお腹を休ませて、お姉さんが大学に行くというので、一緒に家を出ることにした。
学校の体操着で白昼堂々帰るのは、なんとなく恥ずかしい気がして、昨日、お姉さんに借りた制服に着替えると、やっぱり胸も大丈夫ね!、そう言ってお姉さんは得意げに笑い、なんでドヤ顔?、そう英二くんが苦笑いした。
玄関でおじいさんとおばあさんに見送られながら靴を履いていると、「コラー!英二!」ってオウムのタイチにまで声をかけてもらって、話には聞いていたけれど、本当に言うんだ!って思ったら可笑しくて……
色々、あったけれど、ご家族の皆さんから本当に良くしてもらって、幸せな気持ちで英二くんの家をあとにした。
「それじゃ、私、こっちだから、英二!、真昼間っから送り狼になるんじゃないわよ!」
「ほいほーい、当たり前じゃん!、こんなマサトクンの子みたいな弟捕まえて……」
「誰よそれ……、それを言うなら聖人君子、せいじんくんしって読むのよ!、あんた、そんなんじゃ、いくら付属だからって大学部に行けないわよ!」
「……んなことねーちゃんにはカンケーないじゃん!、ねーちゃんこそ急がないと遅刻するよん?」
お姉さんの忠告に、一瞬、間を開けてから笑顔で答えた英二くん……
英二くんは、高校卒業したら就職するって、前に廊下で先生に言っているのを聞いた。
あの時はまだセフレで、しかも英二くんに避けられていた時だったから、私からそれについて詳しく聞くことは出来なくて……