第91章 【シアワセナヨル】
「らって、アツいんらもん……」
「ん、だからさ……?」
立ち上がるとクローゼットに向かい、制服のワイシャツを取り出す。
さっき、小宮山が風呂に入る前、ねーちゃんに言ったのは確かに冗談だったけどさ?
やっぱ、せっかくのチャンスは活かさないとってね?
「これなら、きっと、ひんやりして気持ちいいよん?」
こ、これは、予想以上の破壊力……かも……
オレの煩悩丸出しの提案を、無邪気になった小宮山は「あーい」と素直に受け入れて、躊躇うことなく袖を通す。
昔からあるベタベタな男のロマンだけど、小宮山がオレのシャツをと思うと、想像をはるかに超えた衝撃で……
まぁ、無邪気故に恥じらいが全くないのは残念だけど、こんな時でもなきゃ、あの小宮山が着てくれるはずないから、良しとしなくちゃねん……?
「小宮山、コレ、忘れてる」
そう言って手渡したのはクラス模擬店で使ったオレのネコ耳。
なんれ?、そう不思議そうに首をかしげた小宮山に、寝るときはつけるって決まってんじゃん?、そう当然のように言ってみると、そっか!、なんて言ってあっさりとそれを付けてくれる。
ゴメンにゃ……?
そう心の中で謝るも、小宮山、ちょろすぎだろ、なんて顔がにやけてしまう。
「……小宮山、こっち、おいで?」
両手を広げて小宮山を呼ぶと、すげー嬉しそうな顔で擦り寄ってくるから、もう何もしないなんて無理だろ!、そうあっさり家族との約束を頭から追い出して、小宮山の上に覆いかぶさりキスを求める。
「あっ、んん……」
オレのその行動に驚いた小宮山だったけど、すぐに受け入れ必死に舌を絡めてくれる。
コエ、我慢できる?、そう顔を覗き込んで問いかけると、できるよ、なんて言って小宮山は恥ずかしそうに頷いた。