第15章 【アマクテニガイ】
無邪気な顔しちゃって呑気だねー……
ふーっとため息をついてふと本棚をみると、小宮山の中学の卒業アルバムが目に留まる。
ちょっと躊躇ったけど、好奇心には勝てずにそれを手に取る。
すげー、ここって大石が進学したとこじゃん!
その表紙に書かれていた学校名は、この辺じゃ一番偏差値が高いと評判の大学付属中学校。
でも小宮山の頭ならそれも納得か……
それがなんでうちなんかに入学したんだよ……?
そりゃうちだって「なんか」って言う程低くはないけどさ、小宮山の出身校は本当に難関中の難関で、一度入学したら余程のことがない限り、外部進学なんて有り得ない。
もちろん成績が振るわない、なんて場合は別だけど、小宮山に限ってそんなことあるはずないし……
そんな風に疑問に思いながら表紙を開いてパラパラと捲り、お、この子かわいーじゃん、なんて思いながら小宮山の写真を探す。
小宮山……小宮山……
中学の頃の小宮山はどんなだろ?
やっぱ、あのメガネに三つ編みのツンツンだったりして?
そんなふうにワクワクしながら捲ったページの先で、ドクンと心臓に衝撃が走った。
へ?……これって……
その捲ったページで目に飛び込んできた異様さに、思わず視線が釘付けになる。
そこで見たのはマジックで真っ黒に塗りつぶされた個人写真。
それから、まさかね……そう思って恐る恐る確認したその下の「小宮山璃音」という名前……
なんだよ、これ……?
慌てて他のページをめくると、全体写真にクラス集合写真、生徒会執行部の写真など、所々、同じように顔が塗りつぶされている写真があった。
これって全部、小宮山かよ……?
どうしてこんな……?
いったい誰が……?
そんな疑問が次々と頭に浮かんできては、オレの心臓を騒がせた。