第91章 【シアワセナヨル】
そりゃ、真面目な小宮山が未成年のくせに酒を飲むなんて許せないのは分かってたけどさ?
でも折角、小宮山と寄りを戻せた祝杯なんだ、ジュースやコーヒーじゃなくてさ、アルコールが飲みたいなーって……
夕飯の時からずっと、とーちゃんやにーちゃんたちが美味しそうに飲んでんのを、指をくわえて見てたんだしさ?
こうなったら小宮山を巻き込んじゃえ!ってなことで、小宮山にもカクテルを渡した。
バレるよなー?って、半分、ダメ元って言うか、バレるの前提だったけど、小宮山はなかなか気が付かなくて……
確かに小宮山んちは料理酒以外アルコールがなくて、高そうなブランデーとかは並んでたけど、一般的な酒は見当たらなくて……
いくら見慣れてないからって、ほーんと、ニブすぎ、そう苦笑いするオレに、だから飲んじゃダメです!、なんて言って小宮山はオレのビールを取り上げる。
「……ちょっと、なんの騒ぎ……って、英二、それ!」
「あー、私のカクテルも!」
オレと小宮山のやり取りを騒がしく感じたのか、様子を見に来たかーちゃんとねーちゃんたちが、すぐさまアルコールに気がついて声を荒らげる。
こらー!、英二!、そう怖い顔をされるから、あっちゃー、なんて首をすくめて、ごめーん、そうペロっと舌を出す。
「どうりで時々なくなると思ったら、あんたがこっそり飲んでたのね!」
「それはそうだけどさ、小宮山はかんけーないよん?、オレが騙したようなもんだから!」
「そんなの分かってるわよ!小宮山さんがそんなことするわけないでしょ!」
小宮山の名誉のために言ったけど、まぁ、オレが騙したのは本当の話だし、最初から誰も小宮山のことなんて悪く思ってなかったみたいで……
なんだ?、どうした?と、そんなやり取りにとーちゃんやにーちゃんまで駆けつけてきて……
うわっ!、こんな大事になっちゃって、小宮山、困ってんじゃないかなー……?、なんて焦りながら、英二!、そう怖い顔をするみんなに、ごめんってー、そう今度は両手を合わせて必死に謝った。