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【テニプリ】闇菊【R18】

第91章 【シアワセナヨル】




「……あの、英二くん、おまたせしました」


控えめにかけられた声に驚いて振り返る。
あ、携帯……邪魔しちゃいました?、そう申し訳なさそうな顔をする小宮山に、うんにゃ、全然!、そう言ってニッと笑い立ち上がる。


「ほい、座って、座って!」


ドレッサーの代わりに、今まで自分が座っていたイスに座らせると、約束通り、小宮山の髪にドライヤーの風を当て始める。


乾くにつれて、指のあいだをサラサラと流れていくキレイな髪の毛……
その度にふわりと香る甘い香り……


それは、ねーちゃんたちが愛用しているシャンプーの香り……
あの2人だとなんも感じないのに、小宮山と思うとすげーいい香りで……


髪の毛を束にして持ち上げると、ねーちゃんの色気ないパジャマから見える風呂上がりのうなじが、すげー色っぽくて美味そうで、そのまま吸いつきたい衝動を必死にこらえた。


「……また、英二くんに髪の毛、乾かしてもらえるなんて思わなかった……」


ドライヤーのスイッチを切った途端、ポツリと呟いた小宮山の一言……
あっ!って小宮山が気まずそうに口元を抑えて、それからチラッと視線だけで振り返りながらオレを見上げる。


「……聞こえちゃいました?」

「……ん、聞こえちった……」


それはドライヤーの音で聞こえないだろうと安心して呟いた小宮山の本音……
オレが気にしないように、すべて飲み込んでいた言葉が、ちょっとだけ溢れた……


「……ごめんなさい、その、こう言うこと、言うつもりは無かったんですけど……」

「……オレも、小宮山の髪、また触れてよかった!」


申し訳なさそうに謝る小宮山が、気にしないように笑顔で答える。
そもそも、小宮山が謝る必要なんてないのに……
どこまでもオレの気持ちを一番に考えてくれて……

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