第91章 【シアワセナヨル】
「小宮山さん、お風呂、入って?」
煎餅も食べ終わり、やっと小宮山とイチャイチャしようと思ったら、ねーちゃんたちが小宮山を呼びに来た。
んじゃ、オレも一緒に……って言ったら、思いっきり鉄拳が飛んできて、冗談なのにー!、なんて殴られた頭を抱えてうずくまった。
「バカは放っといて、小宮山さん、行こ?、案内するから」
「コレ、パジャマ、使って?」
「あ、はい、ありがとうございます、でも、英二くんが……」
「いーの、いーの、あんなやつ!」
オレを心配する小宮山を無理やり連れ出したねーちゃんたちを、ちょいまち!そう慌てて呼び止める。
何よ?、そう面倒くさそうに振り向いたから、小宮山のパジャマはオレのワイシャツ……なんて願望を素直に口にした瞬間、更なる鉄拳が直撃した。
ちぇー、男のロマンを全然わかってねー!、そうまた不貞腐れながらも、ハッとして慌てて3人を追いかけ、小宮山!、そう急いで声をかける。
「髪の毛、オレが乾かしちゃるよん!、上がんの待ってるからさ?」
はぁ〜?、あんた、いい加減にしなさいよ?、そう眉間にシワを寄せたねーちゃんたちだったけど、肝心の小宮山はすごく嬉しそうに頬を染めていて、そんな小宮山の反応に、流石のねーちゃんたちも黙るしかなくて……
「小宮山さんがいいなら、いいけどね……」
そう呆れ気味に言った後、覗くなよ?、なんてオレに怖い顔で念を押し、そのまま風呂場へと向かった。
覗かねーよ、んなことしたら、本当にとまんなくなっちゃうじゃん……
さっきは暴走しかけたけれど、マジでヤっちゃって、それが家族にバレちゃったら、そのあとの気まずさはオレより小宮山のほうが大きいはずで……
せっかく人見知りの激しい小宮山が、すんなり家族に馴染んでくれたのに、全部、ぶち壊すようなことだけは、絶対したくなくて……