第90章 【カンゲイ】
「私の顔になにか付いてるかい?」
「は、はい、あ、いいえ!……スミマセン……」
慌てて視線をそらして俯くと、なんか、私、英二くんの家に来てから、こんなのばっかり……、そう思って恥ずかしくなる。
「……英二を茂みの中で初めて見つけた時、ああ、この子は私の子だって思ったんだよ……血の繋がりなんかなくても、4人の子どもたちと同じ、私の子どもだって……」
理屈じゃないんだよ、そんな英二くんのお父さんの言葉に、ハッとして顔を上げる。
聞きたかったのだろう?、私の心を読んだかのようなその言葉に、私って本当に解りやすいんだろうな、なんて苦笑いをしてしまう。
それから理屈じゃなく、自分の子だと感じたそのお父さんの言葉に、胸が熱くなって……
「私もよ、最初はなんてこと言い出すんだろうって相手にもしなかったんだけど……だって同情だけで出来ることじゃないでしょう?
でも、この人の熱意と真剣さに負けて、1度だけ会ってみようと思って……でも会ってみたら、同じように私の子だって自然と思えたわ……」
ほら、英二って落ち着きないところあるでしょ?、きっとうっかり産まれてくるところを間違っちゃったのよ?、そんなお母さんの言葉に、もう涙腺崩壊で……
こんな、泣かれたって困るだろうに、お父さんとお母さんの慈愛に満ちた瞳に、先程のアルバムの写真を思い出し、尚更、涙が止まらなくて……
きっとほかのご家族も、英二くん本人も、同じ思いだったんだろう……
ただ一目見ただけで、呼吸のリズムとか、まとう空気とか、醸し出す雰囲気全てが、自分と同じと感じ取った……
それはきっと、あの雨の日、東屋でネコ丸を抱いて空を眺める英二くんに、私が感じたものと近い感覚……
もしそれを、ありふれた言葉で言い表すのなら、
運命____