第90章 【カンゲイ】
「小宮山さん、英二のこと、よろしくね?」
「はい」
英二くん、見つけてもらって、良かったね……
本当に本当に、良かったね……
「あの、私、英二くんのところに……失礼します」
ぐいっと涙を拭って立ち上がり、ぺこりと頭を下げる。
お茶、持ってってあげて?、そう言ってお母さんがクマ柄の湯のみにお茶を入れてくれる。
きっと英二くん専用の湯呑みなんだろうな、そう思ったら自然と頬が緩んで……
「今度、遊びに来るまでに、小宮山さんの湯のみも用意しておくわね?」
「は、はい、ありがとうございます!」
そう言ってお母さんは新たに淹れてくれた私のお茶と、お茶請けを一緒にトレイにのせて渡してくれる。
みなさんにとても良くしてもらえたことに感謝しながら、私は幸せな気持ちで英二くんの元へと向かった。