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【テニプリ】闇菊【R18】

第89章 【カイホウ】




英二くんの部屋に来たのは、これで2回目……
あの時も英二くんが倒れて、心配する私を不二くんが連れてきてくれた。
まだセフレだったから戸惑っていたんだけど、英二くんのお母さんにあれよあれよという間に案内されて、予想通り、英二くんを怒らせちゃって……


『第一、学校でもちーっとも笑わないでさ、友達1人もいないなんて、小宮山、どっかおかしいんじゃないの?』


あの時、言われた言葉はもう今では完全に過去のこと……
あの時はすごく辛くて、でも精一杯平気なフリをして、なんとか笑顔を作ったけど涙が止まらなくて……


その時、英二くんが、抱いとけば?って大五郎を貸してくれた……
そっと大五郎を抱きしめると、ふわんと香る英二くんの香り……


「大五郎、英二くんのところに行こうね?」


そのまま立ち上がりベッドまで進むと、床に腰を下ろして英二くんにそっと寄り添う。
英二くんは私を必要としてくれているけれど、肝心なことはなにも言ってくれなくて……
しっかり手は握ってくれるけど、思いっきり抱きしめてもくれなくて……


英二くん、気にしてるんだよね……?
鳴海さんのことで責任を感じているんだよね……?


私は本当に何も気にしていないよ……?
だいたい、英二くんはなにも悪くないんだよ……?


英二くん……、ねえ、笑って……?
そんな辛そうな顔しないで……?





英二、くん……

















薄暗い部屋の中、大五郎を抱えて英二くんに寄り添うと、その香りに包まれて途端に眠気が押し寄せる。
ダメ……眠っちゃったら、英二くんが起きた時に、笑っておはようって言ってあげれない……
そう思うんだけど、私も今日は色々あって、押し寄せた睡魔には逆らえそうになくて……


そのまま、微睡みの中へと落ちていった……





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