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【テニプリ】闇菊【R18】

第86章 【トクベツナバショ】




「……くん!」


薄れゆく意識の中、微かに聞こえた小宮山の声……
小宮山……?
なんとか少しだけ目を開けるけど、その姿は確認出来なくて……


小宮山……どこだよ……?


すっかり力が入らなくなった身体をなんとか起こして、その愛しい姿を求め辺りを見回す。


「……小宮山……」

「せ、先輩、何言って、小宮山先輩なんか……」

「小宮山……はやく……」

「英二先輩!」


すぐ近くで聞こえるはずの芽衣子ちゃんの声より、姿の見えない小宮山の声の方がはっきりと聞こえて……
本当だったらこんなに多くの人がいる所で、ましてや芽衣子ちゃんがすぐ近くにいる状況で、小宮山を求めるわけにはいかないのに……


そんなこと、とても考えている余裕なんかなくて、すみません、通してください!、そう人混みを掻き分けて近づいてくる小宮山の声に必死に手を伸ばす。


ああ、小宮山が来てくれる……
あんなに酷いことして、傷つけてばかりいるオレなんかのために……






小宮山が……








小宮山、が……















「英二くん……!」

「小宮山……」


薄れゆく意識の中、泣きながら駆け寄ってきた小宮山の身体を思い切り抱きしめた。
ゴメン……小宮山、オレ……、そう声を振り絞ると、いいんです、そう小宮山はゆっくりと首を振ってオレの髪を撫でる。


「英二くん、ちゃんと呼んでくれたから……」

「もう、来てくれないかと思った……」

「どうしてですか?、すぐに飛んできますって言ったじゃないですか……」


だけど、オレ……、そう申し訳なく思いながら、チラリと小宮山の顔を見上げると、小宮山はやっぱりすげー優しい顔でオレを見下ろしてくれていて……


「英二くん、私、英二くんのことが大好きです……」


ああ、小宮山……
小宮山はそうやって、何も言わなくても、オレの一番聞きたい言葉を言ってくれる……



「……オレも、小宮山が、すげー、好き……」




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