第15章 【アマクテニガイ】
私のつたないキスはいつの間にか彼のリードに変わっていて、その濃厚なキスにすっかり私の心も身体もトロトロに溶かされていた。
彼の腕の中に包まれながら、息を吸うのも忘れ彼の唇と舌を堪能する。
息継ぎでそっと彼の唇が離れると、2人の間を光る銀の糸が繋ぎ、それがまた私の気持ちを高ぶらせた。
私の髪を優しく指でとかすように撫でる彼に、そっとベッドへと組みし抱かれる。
彼の身体の重みを全身で感じ、何度も繰り返される優しいキスに幸福感で泣きそうになる。
普段は学校でスリルと隣り合わせの行為だから、肌の触れ合いも本当に最小限だし、こんなに時間をかけてゆっくり優しくなんてされたことなくて、当然柔らかいベッドに寝かされたことだって初めてで……
だからこんなに英二くんを感じるのは初めてで、まだキスだけなのにおかしくなってしまいそう。
そっと瞳を閉じてその幸せを噛み締める。
唇に、額に、瞼に、頬に、耳に、首に……シャワーのように浴びせられるキスの雨に、身体の芯からゾクゾクしてしまう。
服の上から胸に触れられると、もどかしいんだけど、その分ゆっくりと優しくしてくれているのが分かって、それがまたどうしようもなく嬉しかった。
ふと彼の動きが止まり、?と思ってそっと目を開けると、英二くんは横を見て苦笑いしていた。
不思議に思って彼の視線の先に顔をむけると、そこにはネコ丸がキョトンした顔で首を傾げながら私達を見ていて、そして私達と目が合うとみゃあと声を上げて鳴いた。
思わず英二くんと顔を見合わせると、そんな様子がなんか可笑しくて、おでこ同士をコツンと合わせてクスクス笑った。
「あーもう、ネコ丸てば雰囲気台無しー!」
そう言って英二くんはネコ丸をひょいっと抱き上げると、お前はこっちだよん、そう部屋から出してドアをパタンと閉める。
それからベッドに戻り腰を下ろすと、せーっかく盛り上がってたのにぃ♪、そう言ってもういちど唇を重ねて笑った。