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【テニプリ】闇菊【R18】

第85章 【マドノムコウ】




どうしたら、小宮山を納得させられるか、黒焦げのたこ焼きを見ながら考える。
だから小宮山は火を通しすぎるんだって……
ベースはオレが配合したものだろうから、とんでもない味付けにはなってないだろうけど……


こんな時、勉強だったら、完全にお手上げなんだけど、こういうお祭り騒ぎはお手の物で……
すぐに思い浮かんだのはカラオケ屋では定番のロシアンたこ焼き。
みんなの気分が盛り上がってる学園祭なら、確実に需要が期待できる。
幸い、形はよく出来ているから、表面の焦げもソースを塗ったら誤魔化せそうで……


「……なぁ、英二、そんなことより、こんなところにいていいのかよ?」


考え込んでるオレにクラスメイトが問いかける。
へ?って思って、なんでさ?って答えると、だってお前、もう芽衣子ちゃんインタビュー受けてるぞ?、そう言ってそいつはメイン会場を指さした。


インタビュー……?、その言葉の意味が理解できないオレの耳に聞こえたのは、メイン会場から流れるミスコンの放送……


『そっかー、元気で明るいがトレードマークの英二だけど、彼氏としてはどう?』

『すっごく優しいですよー、なんでもお願い聞いてくれるんです!』


げっ、慌てて小宮山の方を確認すると、さっきまで気丈に振舞っていたのに、もうその場にうずくまっていて……
あー、小宮山、泣いちゃったよ、そう周りの奴らが驚いていて……


「小宮山も失敗して泣くんだな……」

「なんか俺ら、悪いこと言っちゃったな、弁償するって言うなら別にいい、なんてなぁ……」


違う、小宮山はそんな事で泣いてるんじゃない……
そりゃ、たこ焼きの失敗で心が弱ってたのもあるかもしんないけど……


きっと、ダメ押しになったんだ……
さっきの放送が……


オレのこと、もしかして、まだ少しは想ってくれてるって、オレ、自惚れていいのかな……?


もう小宮山の気持ちを受け入れることは出来ないのに、ただ傷つけるだけなのに、それでもまだオレへの気持ちが残ってるかもしんないと思ったら嬉しくて……


そんな自己中心的な自分が嫌になって、どうにも出来ない想いに息苦しくなった。

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