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【テニプリ】闇菊【R18】

第85章 【マドノムコウ】




結局、何も出来ないまま迎えた学園祭当日……
こんなに小宮山への想いを抱えながら、それでもオレは芽衣子ちゃんと一緒にいて……
時折見せる芽衣子ちゃんの寂しそうな視線は、相変わらずガキの頃のオレを思い出させて……


部屋の窓から空を眺める……


秋の高い空は余計に遠く感じられて、ただでさえ届かないのに、尚更、距離を広げられて……


「……小宮山……オレ、小宮山が……」


大好きだよん……


今日も空に向かって自分の本音をこっそり呟く。
振り返ると大五郎がそんなオレをジッと見ていて……


「内緒だかんな……?」


シーッと人差し指を唇に当てて、それからポンッとその頭に手を載せると、大五郎はコテンと左側に倒れた。













「先輩ー、来ましたよ~、約束通り、友達、連れてきましたー!」


クラス模擬店、たこ焼きを焼くオレのところに芽衣子ちゃんが訪ねてくる。
先輩、こんにちはー、そう華やかな声で挨拶してくれるのは芽衣子ちゃんの友達たち。
彼氏になってすぐに紹介されて、時々、顔を合わすようになった。


「みんな、来てくれてあんがとねー、サービスするからさ、買ってってよ」

「わーい、ありがとうございまーす!」


たこ焼きを手渡すと、ちょっとゴメン、そうみんなに軽く断って、芽衣子ちゃんの元に歩み寄る。
先輩、可愛い~、そう言って芽衣子ちゃんがオレのネコ耳に手を伸ばすから、付けるー?、なんて言ってカチューシャを彼女の頭にかぶせると、彼女は嬉しそうに笑って友達と写真を撮っていた。


芽衣子ちゃんは本当に可愛いから、昨日の仮装行列ときのチアリーダーの格好の時も思ったけれど、このネコ耳もとても良く似合っていて……


「先輩、似合いますー?」


嬉しそうに駆け寄ってきた芽衣子ちゃんに、うんにゃー、とっても可愛よん、そう笑顔で答える。


小宮山に付けさせたくて提案したネコ耳……
だけど当番の時間が全然違うから、見に行かなきゃ見れなくて……
だけど完全に避けられている立場では、とても見に行けるはずなくて……

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