第2章 アルスラーン戦記短編*ハロウィン
お互いの顔を見合わせて額を合わせて笑い合うと、ふいにダリューンの目が真剣なものになる。
何か言おうとしたカナヤの唇が塞がれて、次の瞬間、ようやっと唇を合わせているのだと気がついた。
長くて短い、焦がれていた瞬間。
温もりが離れると、カナヤは手で唇に触れて、何故、というような眼差しを向ける。
「…すまんっ」
ハッとしたダリューンは慌てて離れるが、カナヤはその逞しい腰に腕を回して抱きつくと、その背に額をゴリゴリと擦る。
「なんで、謝るの?私は、嫌じゃ、なかった」
密着したカナヤの速い鼓動と熱が背中に伝わって来て、その言葉が嘘ではない事を悟る。
「俺で、いいのか」
「……ダリューンがいい」
気持ちに蓋をしておくつもりだった。
曖昧な関係にしておけば、その方がいい気がしていたのに。
ひとたび落ちてしまえば、失う怖さが必ずまとわりつくのがわかっていたから、避け続けていたのだ。
それはダリューンもカナヤも同じ事で、だからそういう空気になることを完璧に遠ざけてきたのに。
「もう、ダメだな」
振り返ってもう一度確かめるように抱きしめると、啄むようにその髪に、額に、瞼に、鼻先に唇を落としていく。
両手でカナヤの頬を包み込むと、その瞳は少し潤んでいた。
「ずっと言えなかった。言ってしまえば、もうそれ以前には戻れなくなる。それがお前の枷になるのがわかっていた…だから、言えなかった」
「枷でいいよ、あなたに繋がれてしまってもいい。だから、言って?」
瞳から涙が落ちる。
ずっと待ち焦がれていたその言葉を待って、カナヤから唇を寄せた。
触れる瞬間に耳に届いたその言葉に、カナヤは打ち震えながら口付けで応えたのだった。
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はい、ダリューンend修正しました!
見直したら誤字脱字素晴らしくて泣けてきます……
このあと夢主とダリューンがどうしたか、うん、ご想像にお任せいたします!
ギーヴが夢主の服を作ったんですが、まあピッタリもピッタリでして。
…後から槍の的にされそうだなあと思いながら書きました。
修正版はいかがでしたでしょうか?
稚拙な文ですが、夢主とダリューンの気持ちが伝われば幸いです!