第1章 出会い ~見つけた~
「いらっしゃいませ」
仕事が早めに終わったから若いころから通いなれてる渋谷のこの店にフラッと寄った
ココは一元は入れない店で俺みたいな人間は比較的安心して飲める
地下の隠れ家的なバーだ
常連や店の人間も顔見知りでオーナーの結婚式の二次会にも出るくらい仲がいい
店内は空いていた
奥のボックス席に座ってバーボンを頼んだ
掛けてたティアドロップのサングラスをはずしテーブルに置いて
ふーっと息を吐く
タバコに火をつけ、酒を待ってる間店内を何気なく見渡していた
タバコが吸い終わる前にロックグラスに注がれたバーボンとチェイサーが運ばれてきた
俺の目線の先にこの店では珍しく一人でカウンターに座ってる女がいた
後姿だったけど漂う空気感が目を放せない感じでグラスを運んできた店員に聞いた
「あの人見かけないね?」
と、俺がグラスを持ちながら指差した方向に目線を合わせて
「あ、あの人は二回目かな?この前はお連れの方がいたんですけどね」
「ふーん」
と、気のない返事をした