第2章 団長として、男として :エルヴィン 甘
「おはよう、」
『エルヴィン…おはよぅ』
起きたばかりで頭がボーッとするのか、口が半開きになっている。
そんな顔も愛しく思えたて先ほど伸ばした手に再び力を入れてを引き寄せる。
『ん?どうしたの?』
「いや、ただ無防備なキミが何だか愛らしくてね。クスッまだ眠いかな?」
『////、眠いけど起きる。朝御飯作らないといけないから』
そう言うとゴソゴソと動き始めて私の腕の中からスルリと抜け出し杖を掴む。
は元々調査兵団だった。
それも腕の立つ尖鋭中の尖鋭。
リヴァイからの信頼も厚く、ハンジの巨人話にもちゃんと耳を向けるいい子だ。
だが、壁外調査の時巨人に食べられそうになっていた兵士を助けた際に自身も負傷してしまった。
平地で5体もの巨人に囲まれ本来なら死んでしまっていたかもしれない状況だったがさすがと言ったものか…足を負傷するだけですんだ。
杖がなくては歩けない彼女はもう我々と共に壁の外へ行くことはできない。
は調査兵団を辞めるといい出したが、彼女が調査兵団から抜けたら団の力は一気に落ちる。
実戦だけでなく作戦や兵士たちの精神面でもの力は調査兵団には必要だったから……というのもあるがそんなものは建前で本音は私自身が離れたくなかったのだ。