第9章 天然たらしの事情 :橘真琴 甘
{主人公}
「橘くんおはよう!」
「おはよ、…あれ?髪の毛切った?」
「えっ、うん/////」
「やっぱりー!そっちの方がスッキリしてて似合うよ!」
「あ、ありがと/////」
朝から嫌なものを見てしまった…。
[似合ってる]か…髪の毛切ってもヘアアレンジしても私には1度もいってくれたことがない言葉…
あれか?どれも似合ってないということですか?
連休明けのかったるい朝に今日のために備蓄した1日分のテンションを一気にかっさらわれた気分。
「…、井上ちゃんおはよ ニコッ」
『……………ぉ、おはよ』
挨拶を返すだけで精一杯で私は足早に自分の席へ向かった。
せっかく挨拶してくれたのに…
『はぁ……―』
席で座ってれば今日なんどめかわからない[橘くんおはよー]をまた聞くことになった。
橘真琴
高身長に加えてルックス性格共に良し。
勉強もできてスポーツマン。
惚れないってゆう選択肢があるなら今すぐ私の前に提示していただきたい。
高校に入って2年。
橘くんに恋をして―2年。
今のところ進展は特になし。
それどころか話しもまともにできないからさ。
あ、また女の子と話してる…。
この、タラシめ……―。
なーんて言ってみるけどこれがただの嫉妬だってわかってるから私は、視線を外に向ける他ない。