第8章 岩鳶 :橘真琴 切甘 続
『ただいまー』
帰ってくる事は親には伝えてある。
今日からまた実家暮らしに戻る。
5年間の日常がまた非日常になり
岩鳶での生活が日常になる。
「あら、おかえり。駅についたら電話ちょうだいって言ったじゃない。お母さんむかえ行ったのに」
『んー、久しぶりに岩鳶歩きたかったから。ごめんね、電話すれば良かった』
「まぁいいわ。部屋片付けちゃいなさいよ」
『うん』
ただいま.....。
5年前真琴に荷造りを手伝ってもらってからそのままの部屋。
ここだけ時が止まってるような、
不思議な感覚。
ふと、机の上の写真に視線が止まる。
これ.....
卒業式の時のだ。