第5章 大好きな君へ
あの喫茶店で健人に会った日の夜。
健人が女の人と歩いているのを見た。
仲良さげに手を繋いで歩いていて。
健人の家に入って行った。
その姿がずっと頭から離れなくて
部屋に行くと、部屋が何だか熱くて窓を開けると
健人の部屋も窓が開いていてカーテンは閉まっている
「健人………」
名前を呟いてみる。
カーテン越しに見えるシルエットは重なる
「ん、、、健人、ァッ 窓あいてるよ…」
そんな声が聞こえた。
自然に頬を伝う
嫌になって窓を閉める。
耳を塞いでベッドにうずくまる。
「健人、、やだ。なんで?」
健人の心にはもうあたしはいないの?
あたしは今でも健人を想ってるよ。
先に手を離したのはあたし。
離した手はもう繋がることはない。
あたしは健人がいない世界がこんなにも真っ暗だって知らなかったんだ。