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距離感がおかしい

第9章 どんぐりの背比べ







「普段の自分の行動考えてみてくださいよ。ちゃらちゃら年中ナンパしてる女好きの彼氏からあんな軽ぅ〜〜いノリでプロポーズされたら誰にでも言ってんだなって思いますよ。」

「うそうそうそ…!!やばいでしょそれ!」


顔をサーッと青くした白澤様は慌てて携帯をいじり始める。

「くそっ!ダメだ切られた!」

まぁ、そうだろうな…
めげずに携帯を操作しているがどうせ無駄だろう。

コレは今度こそやばいかもなぁ…
そんな事をのんびり思っていると鬼灯様がスッと携帯を取り出す。

「ここは私の出番のようですかね。」
「ざっっけんな待て!!お前は何もすんなっっ!!あ、お香ちゃん?今日さゆちゃんどこに泊まってるかわかる?!本当一生のお願い…!!!…うん、うん!ありがとう!!!ウォーアイニーーーーー!!!」

いるとこ分かった!と騒ぎながら白澤様が取り出した財布を俺に押し付ける。

「領収証もらってね!!僕行ってくる!!」

それだけ言うとガタガタと店から出て行ってしまった。
この行動力を仕事で見せて欲しい。

時間にしたら3分も経っていないんじゃないだろうか。

嵐の後の静けさ。
白澤様がいなくなった個室で、しばらく鬼灯様とポカン…と出口の方を眺めていた。

あれ?これ少し気まずくないか?

恐る恐るそちらを見ると、相変わらず何事も無かったかのように酒を煽っている。



「………鬼灯様、良かったんですか?」
「…まぁ、止める暇も無かったですし。それに…」



「月並みですが、私はやっぱり、さゆさんの笑っている顔が1番好きだと、この間確信したので。」
「……本当何したんですか…」
「内緒です。」


確かにさゆちゃんを好きだと口にした鬼灯様は、くいっと枡に残った酒を飲み干す。


相変わらず腹は読めないけれど、これはもしかしてヤケ酒をしているのかもしれないなと思った。


そうであれば、今俺にできることは一つだ。




「財布、貰ったんでじゃんじゃん飲みましょう。」


「………私、強いですよ?」


構うもんか。

「お姉さん!注文お願いします!!」




メニューに目を通しながら、今頃走っているであろう白澤さんを思い浮かべた。





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