第6章 隣は友人、彼氏は物陰
「あ、あそこです。ここの白玉アイスぜんざい本っ当に美味しくて!!!」
「それは楽しみですね。」
最高にかわいい僕の彼女と因縁の鬼が仲良く甘味屋へ入って行く。
「白澤様ぁ〜見ててもイライラするだけなんだから〜帰りましょう〜?」
「嫌だね!!!!!!もしさゆちゃんに何かあったらどうするのさ!!!!」
「鬼灯様に限ってそんなことあると思えませんけどねぇ。ていうか俺帰っていいですか?」
「やだ!!僕1人でこそこそしてたら不審者じゃないか!」
「2人でも充分不審者ですけどね。」
お触り禁止が出たのは昨日。
さゆちゃんといえば、昨日あいつが言ったように本当に2人で甘味屋へ来ている。僕と最近やっと手を繋げるようになったのに自業自得とはいえあんまりだ。
あいつが忙しくて昼休み限定なのがせめてもの救いだけど。
帽子とサングラスで軽く変装して近くの席に座る。
ここからだと声は聞こえないけれど楽しそうなのは確かだ。
さゆちゃんは抹茶チョコパフェ。
あいつは白玉アイスぜんざい。
2人で交換しあったりなんかしちゃってる。
何あれ?
めっちゃ楽しそうじゃん。
ていうかいっつもあんな事してるの?
なんかもう僕ときいるよりカップルっぽくない?
いや先日のデートも負けてない。
はず。
だけど。
第三者になって見るさゆちゃんは、改めて本当に可愛らしい女の子で。
僕以外の男にあんな笑顔で話しているのにただただ嫉妬する。
今すぐ手を引っ張って連れ出したい。
でも僕は今おさわり禁止だし、今まで散々他の子の手を取っておいてそんな事できるはずがない。
あくまでお礼として談笑しているのにそれもやめてくれだなんて、酷い束縛男だと思われたらそれこそ振られてしまうかもしれない。
さゆちゃんもいつもこんな気持ちになっていたのだろうか。
だとしたら申し訳ないけど嬉しい。
でもやっぱり。
この現状はたまらなくムズムズする。