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距離感がおかしい

第4章 デート回





ん?あれ?ちょっと待って?

誘うって次のデートのこと?
それともこの後のこと?

完全にデートの事として受け取っていた。

以前の僕だったら、他の女の子だったらもちろんこの後の行動に誘う。

キスして部屋に戻って体を重ねる。

いやいやいや。でも、さゆちゃんをいきなり夜に誘うなんてそんなのハードル高すぎる。

でもさゆちゃんはどう思っているんだろう。彼女の享年は25・6だったはず。経験のひとつやふたつあってもおかしくない。
あ、ダメだこれ考えたら苦しくなってきた。
僕は彼女の過去の相手と比べたら、いやきっとその辺の男と比べても酷く奥手なはずだ。

「白澤さん…?」
「ああ!ごめん!」

どうやら僕は考え事をしながら1人百面相をしていたらしい。何を言おうかとまた考えているとさゆちゃんは僕の手を引いて歩き出した。

「風、気持ちいいですね。」
「うん。」
「私、夜の空気って好きなんです。少し冷たくて。」
「うん。」

さゆちゃんまた優しく僕に笑った。

足が止まる。

「白澤さん…?」
「さゆちゃん…さゆちゃんは本当に僕のこと好き?」
「え?」
「僕、浮気するし、奥手だし、告白のときだってその場の雰囲気みたいなのもあったと思うし…」
「うーん…まぁ、確かに全部そうですけど」
「やっぱり!!!」
「でも!ちゃんと好きですよ。今だって、白澤さんが私のこと真剣に考えてくれてるのわかりますから。」
「……本当に?」
「本当に。」

さゆちゃんはまたふっと笑ってくれた。

「さゆちゃん、抱きしめてもいい…?」

僕が質問すると少し驚いてからまた笑う。

「ええ、どうぞ。」

さゆちゃんが両手を広げる。小さい子供を迎え入れるようなポーズだ。

そっと手を伸ばし抱きしめる。
彼女は腕の中にすっぽりと収まると背中に手を回してきた。

「ふふっあのとき以来ですね。」
「うん。」
「私、こうしてもらうの、凄く落ち着いて、好きです。」
「うん、僕も。」
「他の人にはしないでくださいね。」
「うん、してないよ。」
「手も取らないでください。」
「うーん…がんばる。」
「そこはうんって言ってくださいよ。」

ムッとした顔でさゆちゃんが見上げてくる。怒った顔もかわいいなぁ。

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