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距離感がおかしい

第4章 デート回





「じゃあ、行ってくるね。」

ご飯を食べ終わって夜の9:20ごろ、さゆちゃんとの待ち合わせ場所の養老の滝に向かった。

同じところに住んでるのに待ち合わせ?となるけど一応支度をしてから行きたいから少し遅れて出るとのこと。

僕といえばそりゃもうめちゃくちゃ浮かれてる。

足取りが軽い。
今日はもうずっとこの時のことしか考えられなかった。前にさゆちゃんに買った簪のひとつを持ってきている。ずっと引き出しの中で眠っていたさゆちゃんへのプレゼント達。これは引き出しからの卒業品(?)第1号になるのだ。

いつ渡そう。なんて言って渡す?

考えるだけで緊張するけど受け取って喜ぶさゆちゃんの顔を想像すると、もうなんでもしようという気になる。

早くこないかなと思うけど待っている時間も楽しい。

「白澤さん、お待たせしました。」

声の方へ振り返るとすぐに顔が赤くなるのを感じた。

さゆちゃんはいつもの中華風の服(僕が仕事着用にあげたもの)ではなくブラウスとロングスカートという格好をしていた。シンプルだけどさゆちゃんによく似合ってかわいい。仕事着以外のときは浴衣が多いから洋服は新鮮だ。


「着替えてきたの…?」
「一応、ね。どうですかね?」
「かわいいよ…すごく似合ってる…」

かわいい!!超かわいい!!!どうですかねって少し照れながら聞いてきたさゆちゃんは本当にかわいくて、でも全然言葉や態度で伝えられなくて素っ気ない返答になってしまった。言いたいことの半分も言えない…。初めて見る服だからきっと今日のために選んでくれたのだろう。本当に似合っていてかわいいし、その気持ちも嬉しくて本当はもう抱きつきたいくらい。

でもなぜだか体が動かない。
こんなんで本当に愛想つかされないだろうか。というか今までよくつかされなかったな…

さゆちゃんは味気ない僕の返事にも嬉しそうに笑って「歩きましょうか」と言ってくれた。


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