第12章 愛しい人へ(中編)
結果から言って自分の手で彼女を殺すことはできなかった。
1年。
ひたすらお互いのために、自分のために生きた1年は、この1年のために自分は生まれてきたとさえ思うほど幸せな日々だった。
それも彼女あればこそ。
こんな彼女を手にかけて、
冷たくなる彼女を見送るなんて
「そんなの悲しいに決まってる…」
抱き合う彼女はそっと自分の頭を撫でる。
ああ、ダメだ。これじゃわからない。
君を失うのに、結果が分かりきっている事をするんじゃ意味がない。
何も言わずただ抱きしめてくれる残酷なほどに純粋な愛をくれる彼女。
ダメだ。
もっと計画的に。
もっと予定外に。
彼女の死を得なければ。