第11章 愛しい人へ(前編)
私には彼が何を言っているのかよくわかりませんでした。
どうしてそこで殺人に繋がるのかも。
だからひたすら抱きしめて背中をさすることしか出来なかったんです。
でもちょっと考えてみて、例えば遠くに暮らしてる近い親戚の祖法を電話で聞いて何も感じなかったらって
確かに怖いなって思ったんです。
自分って薄情なやつだったのかなって。
彼はそういう事が何度かあって、そんな自分が怖くて、気持ち悪くて、嫌だと言っていました。
でもどうしようもなくて、そのときは一先ず寝かせて、次の日も「昨日は変なこと言ってごめん」って笑って仕事に出かけてったんです。
でも3ヶ月後、彼の会社の仲の良い先輩が亡くなって、そのときはもう、見てられませんでした。
泣いているんです。
物凄く。
ても違うって言ってて。