第18章 居残り練習
[優希]
居残り練習するのは、いつものこと。
でも
ガツッ!
バンッ!
シュートがさっきから入らない。
まるでゴールに嫌われているように、ことごとくボールが弾かれる。
「………はぁ。」
これは、美琴と保健室でのやり取りが、明らかに影響している。
私は、間違ったことを言ったつもりはない。
私は、この高校で真剣にバスケに取り組んでいて、一戦一戦、負けるわけにいかない。
IHは、高校バスケ部の一大タイトル。
キャプテンとして、部のことを思えば、中途半端な部員は、足を引っ張るだけだと思う。
でも
美琴のことを考える。
単身ドイツから、婚約者候補の赤司征十郎に会うためにやってきた、美琴。
ずっと、ドイツにいたようで、日本には知り合いも親しい友達もいない彼女と、友達になった。
この高校は、男子バスケ部の強さが表だっていて、私たち女子バスケ部は、日陰の存在だった。
だから、私たちのプレーを誉めてくれた彼女に、マネージャーとして誘ったのは私だったのに。
居残り練習をして、何十本目の3Pをやっぱり外して、手を止める。