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~スミレ色の婚約者~【黒子のバスケ☆赤司】

第17章 保健室


[征十郎]




美琴が、体育館で倒れたと聞いて、俺は急いで保健室に向かう。

廊下を早歩きで歩いていると、向こう側から優希がやってきた。


「優希、美琴は?」


呼び止めるが、優希は俺に会釈して、そのまま体育館へ帰っていく。

俺は不信に思い、保健室に急いだ。



ガラガラガラ



保健室の扉を開け、中に入る。
どうやら、養護の教師はいないようだ。
俺は、カーテンがひかれた簡易ベッドに足を向ける。


「美琴?」


カーテンを開けると、美琴が、上半身を起こした状態で座り、掛け布団に顔を埋めていた。


「…美琴、気分はどうだい?」


俺はそっと、彼女の傍に近寄りベッドに腰かける。


「………っ………」

「泣いているのか?」


俺は彼女の肩に手を掛けるが、彼女は俺を見てくれない。


「…美琴?頭が痛くて泣いているの?」

「んん…っ……」


美琴は、顔を掛け布団に埋めたまま、頭をゆっくり振った。


「…美琴、こっちを見てくれ。」


俺の声に、やはり頭を振る彼女に困惑する。
無理矢理にでも、顔を上げさせたい気持ちが顔を出すが、グッと抑えた。

そして、さっきの優希の様子が気になった。


「…優希と、何かあったのか?」


すると、彼女の身体がビクッとする。


「君が話してくれないなら、優希に聞くが…。」


そういって腰を上げようとすると、俺の制服を引っ張られる感覚があった。
振り返ると、美琴が涙を一杯に溜めて、俺の制服の端を持っていた。


「…ダメです。ヤメてください。………私が悪かったんですっ。」


美琴の瞳から、ポタポタと涙が流れ、掛け布団に落ちる。

俺は、彼女の涙を指で拭い、彼女の額と、俺の額をくっ付けた。


「心配した。ぶつけた所は大丈夫なんだね?」

「…はい。」

「…何で泣いていた?」


その問いをすると、美琴は額を離し、掛け布団の端を両手で握りしめた。


「…俺に、言いたくない?」

「…はい。」


そういって、彼女は俺から顔を反らした。


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