第13章 魔法な時間 パーティー会場にて
[美琴]
ホテルに着くまでに、胸がドキドキして、もう身体が疲れている。
私は、赤司さんのエスコートで、ホテルのロビーまでやってきた。
すると、赤司さんの知り合いなのか燕尾服の初老の男性が、私たちにお辞儀をして、近づいてこられた。
「征十郎様。お久しぶりでございます。」
「あぁ、父は元気かい?」
「はい。旦那様は今、お部屋にて待機されております。お先に、ご挨拶されますか?」
「……いや、いい。それより、部屋は?」
「はい。美琴様と征十郎様。一室ずつお取りしております。」
赤司さんが話している方から、鍵を受け取り、私にひとつ差し出した。
「え?」
「慣れないパーティーで、気疲れするだろ?念のため、部屋を取ってあるから、疲れたら休みに行っておいで。」
「…ありがとうございます。」
赤司さまから鍵を預かり、バックの中に入れた。
赤司さんと一緒に会場へ向かうと、綺麗な夜景が広がる、大きな窓が一面にあった。
「うっわ………。綺麗ですね。」
私は、窓際により、夜景の町を眺めた。
「……君は、景色が好きだね。」
赤司さんの声が後ろから聞こえて、私は恥ずかしくて俯く。
「その……ごめんなさい。」
私は、ドレスの裾をそっと直す。
「はい、飲み物。食べ物は後で俺と行こう。」
赤司さんからグラスを受け取り、微笑む。
「はい。」