第12章 魔法な時間 いざ出発!
[征十郎]
= パーティー当日 =
《これから、寮の前まで迎えにいく。》
美琴へメールを入れ、シャワーで濡れた髪をタオルで拭く。
「あら、征ちゃん今日は早いのねぇ。」
俺達レギュラーは、土曜日の夜、いつものジムで汗を流していた。
いつもなら、10時近くまで、ランニングマシーンで汗を流すのだが、今日は父が主催するパーティーがある。
日が落ちる前の時間に引き上げるのは、久しぶりだ。
俺は、一息付いて実渕を見た。
「あぁ、今日は用事がある。」
ロッカーに入れてあった、白のワイシャツに、赤いネクタイを巻いて、黒のスーツを羽織る。
見るからに仕立てのいいスーツに、葉山が口笛を吹いた。
「カッコいいじゃん、赤司!美琴ちゃんとデートか?」
「…デートなら良かったがな。じゃあ、行ってくる。」
「「いってらっしゃい。」」
俺は、ロッカーを閉め、ジムを後にする。
ジムの前に付けてあった、車に乗り込む。
「征十郎様、お疲れさまでございます。」
「あぁ、出してくれ。」
無駄な振動なく、車は発進した。