第11章 お姫様に変身

「大切なパーティーね。」


店員さんはワクワクした顔をして、私の顔を覗き込んで、抱き締めてきた。


「「？！？！？！」」


「うん、分かった。ちょっと待っててね。」


バッと身体を離して、店の奥に入っていった。


「美琴、大丈夫？」

「う、うん。」


私たちは、嵐のような店員さんに呆気にとられ、突っ立っていると


「お嬢さん、このドレスはいかがですが？」



店員さんが、薄ピンクのドレスを手に戻ってきた。


「キレイ…………。」


優希と二人で同じことを呟いた。


そのドレスは、白が強い薄ピンクの布地で、胸元はハート型の山になってビジューが光る。
なにより目を引くのは、膝上フレアスカートがスリットされていて開いている所から、立体の桜の花がフワフワ揺れている。


「このドレスは、チェリーブラッサム。
あなたの瞳は、とても綺麗な薄紫だから、このドレスはよく似合うと思うの。
来てみて？」


そういって私にドレスを手渡した。
私はフィッティングルームに入り、試着する。


サーーーッ



フィッティングルームのカーテンを開けると、優希も店員さんも、驚いた顔をしている。

恥ずかしくて、下を向きそうになったところで、優希が手を叩いた。


「絶対これ！！美琴、よく似合う。」


そういって笑顔を向けられた。
私は恥ずかしいけど、誉められて微笑む。


「私のドレスはお気に召しましたか？」


店員さんがウィンクしながら、伺ってくれたので、私は頷いて、ドレスの裾を持ってお辞儀した。


「このドレスにします。」


私が顔をあげると、２人は微笑み、私も笑った。


それから、店員さんおすすめのお店で靴など必要なものを揃え、午後３時からの部活ギリギリに、２人同時に体育館へ滑り込んだ。