第7章 女子部のマネージャー
[美琴]
男子部と女子部のバスケ部専用体育館の間に、物干し場がある。
私が干した、大量のフェイスタオルが、春の空にそよぐ。
「ふうっ!完了です。」
流れる汗を手の甲で拭い、干し終わった洗濯物たちを見上げた。
私は、この春から女子バスケット部のマネージャーになりました。
= 2週間前 =
「女子バスケット部の、マネージャー?」
ここは春休みに一度来た、隠れ家・奥の細道。
私は、女子バスケット部のマネージャーになってみたいと、赤司さんに相談することにした。
向かいに座った赤司さんは、目を見開き、驚いているようで。
「はい。やってみたいと思ってるんですが…。」
私は、自分の手を握りしめ、赤司さんの様子を伺った。
なんでこんなに緊張しているのか、自分でも不思議に感じながら。
「うん……。」
赤司さんは顎に指を添え、何か考えているようだった。
沈黙する間も、店のカウンターでは、コーヒーサイフォンがコポコポ音をさせている。
「…辞めた方がいいですか?赤司さんは、バスケット部のお仕事をよくご存じですよね。
私では、務まらないですか?」
すると、赤司さんが顔をあげ、微笑んでくれた。
「いいんじゃないかな。仕事は大変かもしれないが、君なら出来るだろう。」
そう言って、目を伏せてコーヒーカップを口に運ぶ。
私は嬉しくなって、微笑んで、一緒にコーヒーを飲んだ。
『赤司さんに相談してよかった。明日、優希に返事をしよう。』
明日が楽しみで仕方ない。