第6章 新学期の出会い
[美琴]
「はじめまして、西園寺美琴です。
ドイツから来ましたが、両親は日本人です。
日本語はちゃんと話せますので、仲良くしてください。」
洛山高校、2年生の教室。
今日から、この学校の生徒です。
転校生だから挨拶するよう、朝、先生に言われたので、緊張しながら、クラスメイトの前で挨拶をした。
「じゃ、新学期の全校朝礼があります。廊下に出てください。」
担任が生徒に呼び掛け、みんな廊下へ移動して、体育館へ行く。
廊下を歩いていると、後ろからちょんちょんと背中を突っつかれた。
振り返ると、私より背が高い、ボーイッシュな女の子が、笑い掛けてくれる。
「はじめまして。私、優希って言うの。よろしくね。」
「よろしくお願いします。優希さん。」
「優希でいいよ。」
「じゃあ、私も、美琴でいいです。」
初めて声を掛けられて、嬉しくて微笑む。
すると、優希が、驚いた顔をして、頭をポンポンと撫でた。
「カワイイね、美琴って。
変な虫つかなきゃいいんだけど。」
「変な虫?春だからですか?」
「あー…何でもないよ。気にしないで。」
意味がわからず、首を傾げる私に、優希は苦笑して歩く。
そんな会話をしながら、体育館につき、朝礼が始まる。