第27章 夏合宿 ②期待高まる高2の夏
[征十郎]
~ 以上。」
監督からの指示を聞いた俺たちは、これから4日間お世話になる宿に入った。
そして、早々と支度を済ませ、一緒に練習を行うメンバーをロビーで待っていると、女子部のレギュラー陣が、練習に向かうところが見えた。
その中に、美琴を見つけ、俺は彼女を凝視してしまう。
「美琴…。」
無意識に呟いた彼女の名前。
俺の声に反応するように、彼女は、今回の合宿練習メニューが書いてあるであろうプリントから視線を上げ、俺と目が合った。
彼女の顔をゆっくり見るのは、2週間ぶりだ。
あのチェスの後、IH予選・テスト・学期末の生徒会業務に追われ、美琴とはすれ違いの日々だった。
だからなのか、久しぶりに会った美琴に、俺の胸がざわつくのを強く感じる。
「征十郎さん…。」
美琴は、驚いた顔をした後、頬を少し赤くさせ、何故かその顔を、プリントで隠してしまった。
その様子に気づいた女子レギュラー陣が、ニヤニヤしながら見守り、優希が悪戯な笑みを浮かべ、
「美琴の水着、すっごく可愛いの買ったから、休憩の時にでも見に来なよ、赤司様♪」
そう言って、赤くなった彼女の肩を抱いて、軽く手を振ってきたが、美琴は狼狽して、
「優希っ!もー時間ですっ!…皆さんも行きますよっ!!」
ニヤつくレギュラー陣の背中を押して、美琴は困った顔で、逃げるように宿から出ていってしまった。