第26章 夏合宿 ①女子の準備は大変です。
「いやいや、美琴は、フリフリのフリルのが似合うって!!」
「いいえ!!ぜーーーったい、こちらの花柄がいいと思いますわっ!」
「こっちの方が、美琴は似合うってば!」
「いいえっ!こっちです!」
優希が、ピンクのフリルビキニを持ち、香澄が花柄のビキニを持って、睨みあっていた。
「優希、香澄!ほら、お店で騒いじゃダメでしょ??」
私はそんな2人に困って、シーッと人差し指を立てて、注意した。
カラフルな水着が、楽しげに並ぶ店内。
私たちは、夏合宿で着る水着を選びに来ていた。
合宿先は、例年通り:南紀白浜(和歌山県)。
海と山、同時に活動出来る理想の合宿場所なのである。
「…あの…、私はいいから、2人は自分のを選んだらどうかな?」
優希と香澄の興奮ぶりに、私は苦笑していると、目の前にあるフィッティングルームから、水樹ちゃんが出てきた。
「美琴セーンパイッ!どーですか?似合います?」
水樹ちゃんが、黄色のグラデーションビキニを着て、ポーズをとった。
「似合うっ!カワイイよ、水樹ちゃん!!」
「やった~!美琴さんに誉められたぁ♪
じゃあ、これにしよーっと!……って…」
嬉しそうに笑った水樹ちゃんは、優希と香澄を見て、腰に両手を当てた。
「センパイ方!もー、何してるんですかぁ?お二人はもう決めたんですか?」
優希と香澄は、水樹ちゃんを見て、
「「私たちはいいのっ!!」」
息の揃った2人に、私と水樹ちゃんは、顔を見合わせ苦笑した。