第24章 勝負してください。
「美琴が勝ったら?」
「香澄さんへの指示を撤回してください。」
「僕が勝ったら?」
「……私が叶えてあげられる事を、叶えさせて頂きます。」
「分かった。その勝負、受けるよ。」
受けてくれなかったら、どうしようかと思っていたから、ほっと胸を撫で下ろす。
「…ありがとうございます。では、明日お待ちしています。」
[征十郎(僕)]
美琴は、僕にお辞儀をして、その場を去ろうとする。
その手を、僕は掴んで引き寄せていた。
「征十郎さんっ?!」
戸惑う美琴を、僕の腕の中に捕まえ、額にキスを落とした。
「……おやすみ。美琴。」
そう呟いて、体を離し、体育館へ戻る。
瞳の光が、さっきよりも優しくなっていることに、残っていたレギュラー陣だけが、気がついていた。